2024年8月、10年にわたる連載が完結した「僕のヒーローアカデミア」。
多くの謎が明かされる中、最後まで姿を見せなかった人物がいます。
主人公・緑谷出久の父親「緑谷久」です。
ジャンプ作品の主人公で、ここまで徹底的に父親の存在が隠された例は珍しいと言えます。
一体なぜ緑谷の父親は登場しなかったのでしょうか?
今回は、緑谷久の謎と正体について、作中の情報や堀越先生の意図、そしてファンの間で話題になった都市伝説まで徹底的に考察していきます。
緑谷久(ひさし)とは?作中で明かされた基本情報
画像引用元https://neoapo.com/characters/30682
緑谷出久の父親について分かっている3つの事実
まず、作中で明らかになっている緑谷久の情報を整理しましょう。
実は思っているより情報は少ないんです。
緑谷久の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
名前 | 緑谷久(みどりや ひさし) |
個性 | 火を吹く |
現在の状況 | 海外へ単身赴任中 |
職業 | デザイン関係の仕事(詳細不明) |
家族構成 | 妻:緑谷引子、息子:緑谷出久 |
この情報は単行本11巻の緑谷引子の紹介ページと、第1話での引子のセリフから判明しています。
作中での言及シーンは実質2回のみ
驚くべきことに、10年の連載で緑谷久について触れられたのは、わずか2回程度しかありません。
1回目:第1話での個性診断
病院で出久が無個性と診断されたシーン。
医師が両親の個性を尋ねた際、引子が「私は小さなモノを引き寄せる個性で、夫は火ィ吹きます」と答えています。
この一言だけで、久の個性が初めて明かされました。まさに情報の出し惜しみっぷりが半端ないですね。
2回目:スピンオフ小説での描写
スピンオフ小説「雄英白書Ⅰ 1-A:授業参観」で、飯田が出久に「緑谷くんの家は、どなたがいらっしゃるんだ?」と聞いたシーン。
出久は「ウチもお母さんだと思う。」と答えています。「だと思う」という曖昧な表現から、父親が時々帰ってくる可能性が示唆されました。
緑谷家の書斎に残されたヒント
作中で僅かに描かれた父親の書斎には、デザイン関係の本が並んでいます。
このことから、久が何らかのクリエイティブな仕事をしていることが分かります。
ただし、具体的にどんなデザインの仕事なのか、どこの国に赴任しているのかは一切明かされていません。謎は深まるばかりです。
なぜ緑谷父親は出てこないのか?3つの理由を考察
画像引用元https://heroaca.net/archives/269
【理由1】物語の進行上、父親の存在が不要だった
結局緑谷の父親って何だったんだ。。。?
— kake (@kake_r0126) August 23, 2024
最も現実的な理由として、ストーリー上父親が必要なかったという可能性があります。
ヒロアカは「緑谷出久が最高のヒーローになるまでの物語」です。
その過程で重要だったのは、憧れのヒーロー・オールマイトとの師弟関係でした。
つまり、実の父親よりも「父性を感じさせる存在」としてのオールマイトが物語の核となっていたのです。
実際、他の漫画家も「物語の進行上、両親がいると邪魔なのでいないことにする」と語っています。
【理由2】父性の不在が出久のヒーロー観を形成した
ここでちょっと専門的な話になりますが心理学者の樺沢紫苑さんの言葉を借りるなら、久の海外赴任は「父性の不在」を意味します。
父親が側にいない出久は、必然的に他に父性を見出そうとします。
それが憧れのヒーロー・オールマイトだったのです。
オールマイトの「もう大丈夫。何故って?私が来た!」という言葉は、父親がいなかった出久にとって、まさに「父性」を感じさせるものでした。
つまり、緑谷出久にとっての母親は「緑谷引子」であり、父親は「オールマイト」とも言えるのです。こう考えると、実父の登場が不要だった理由も納得できますね。
【理由3】最終章での登場タイミングがなかった
もう一つの現実的な理由として、最終章の展開的に父親を登場させる余裕がなかったという可能性があります。
最終章は日本全土を巻き込む壮絶な戦いが描かれました。
海外に単身赴任中の久が日本に戻る交通手段も限られていたでしょう。
結果として、物語は久が登場しないまま完結してしまいました。
ファンからは「せめて最終回で帰国してほしかった」という声も上がっています。
緑谷久の正体に関する都市伝説5選
【都市伝説1】エンデヴァー父親説
緑谷の父親エンデヴァー説は前からあったぽいけど、轟の父親エンデヴァーじゃない説今更浮上
— 矢島 (@yashi529) November 4, 2018
最も有名な都市伝説が、「緑谷の父親はエンデヴァーでは?」という説です。
根拠となるポイント
- 父親の個性が「火を吹く」こと
- 作中に登場する炎系個性持ちがエンデヴァー家だけ
- エンデヴァーの子供である轟と出久の関係性
しかし、この説は現在ではほぼ否定されています。
エンデヴァーには明確に家族が存在し、時系列的にも矛盾が生じるからです。
ただ、一時期はXでも「出久くんの父親がエンデヴァーだと思っていました」という投稿が話題になりました。
それだけインパクトのある説だったんですね。
【都市伝説2】オール・フォー・ワン説
画像引用元ゲーム公式
次に衝撃的なのが、「緑谷久の正体はオール・フォー・ワン」という説です。
この説の根拠
- 父親の情報が徹底的に隠されている
- 出久が元々無個性だった理由の説明がつく
- ラスボスと主人公の因縁という王道展開
考察では、オール・フォー・ワンが出久の強力な個性を奪い、自分の力にしたのではないかと推測されていました。
しかし、この説も最終回で完全に否定されました。
オール・フォー・ワンの正体と過去が明らかになり、緑谷家とは無関係だったことが判明しています。
【都市伝説3】根津校長説
画像引用元X
意外な説として、「根津校長が父親説」もあります。
根拠
- 出久が小柄なのは両親が二人とも小柄だから
- 根津校長も小柄で頭脳明晰
- 過去に人間だった可能性
この説では、過去にオール・フォー・ワンとの戦いで魔法をかけられ、ネズミにされたという設定が考察されています。
さすがにこれは飛躍しすぎている感が否めませんが、個人的には面白いです!
【都市伝説4】海外でヒーロー活動説
比較的現実的な説として、「実は父親はプロヒーローで、ヒーローの本場アメリカで活動中」という考察もあります。
この説のポイント
- 海外での仕事という設定に合致
- ヒーロー社会の設定と整合性がある
- 出久が父親について語らない理由の説明がつく
もし父親がヒーローであれば、母の引子も素性を隠している可能性があります。
ただ、そうであれば出久が嬉しそうに語りそうなものですが…。
【都市伝説5】ワンフォーオールの先代継承者説
最も物語的に面白い説が、「緑谷久がワンフォーオールの先代継承者」という考察です。
根拠
- 出久がワンフォーオールを使いこなせる理由
- 遺伝的な適性の説明
- 死柄木との対比構造
この説では、出久の時代でオール・フォー・ワンとの因縁に決着をつけるという胸アツ展開が予想されていました。
残念ながらこの説も外れましたが、ファンの間では最も支持された説の一つでした。
最終回でも登場せず!緑谷久のその後はどうなった?
画像引用元Yahoo!知恵袋
※上の画像は海外の方のファンアートです。公式のものではありません。
2024年8月、ヒロアカ完結でも父親は未登場
2024年8月5日発売の週刊少年ジャンプ36・37合併号で、ヒロアカはついに完結しました。
合計42巻の道のりでしたね。
最終回では出久たちの8年後が描かれ、多くのキャラクターのその後が明かされました。
しかし、緑谷久については一切言及がありませんでした。
最終回で描かれた主な内容
- 出久が雄英高校の教師になった
- クラスメイトたちのプロヒーロー活動
- お茶子や爆豪との関係性
- 新たなヒーロースーツの登場
これほど多くの要素が描かれた最終回でも、父親の姿は一切ありませんでした。
まさに徹底した不在ぶりです。
ファンの反応「せめて最終回には…」
最終回を読んだファンからは、様々な反応がありました。
「緑谷の父親が最後まで出なかったのは寂しい」「せめて帰国したシーンだけでも見たかった」という声が多数上がっています。
一方で、「父親の不在が物語のテーマだった」「オールマイトこそが父親的存在」という解釈で納得するファンもいました。
ファンの間では、緑谷久についての考察が今でも投稿され続けています。
堀越先生の意図は?インタビューから読み解く
堀越耕平先生は複数のインタビューで作品について語っていますが、緑谷久について直接言及したことはありません。
ただ、「news zero」のインタビューをはじめ、10年間で変化してきたヒーロー像についていろいろと語っています。
また、完結後のコメントでは「たまにデクたちのことを思い出してくれたら嬉しいです」と読者へメッセージを送っていますね。
父親を登場させなかったことも、堀越先生なりの演出意図があったのかもしれません。答えは読者一人ひとりの心の中にあるということでしょう。
緑谷父親不在が示す物語の深いテーマ
血縁よりも絆が重要というメッセージ
緑谷久が登場しなかったことには、深い意味があると考えられます。
ヒロアカが一貫して描いてきたのは、「血縁関係よりも、共に戦い成長する仲間との絆」の重要性です。
出久にとって本当の父親的存在はオールマイトであり、家族のような存在はクラスメイトたちでした。
生物学的な父親の不在は、むしろこのテーマを強調する効果があったのではないかと考えられます。
読者に委ねられた想像の余地
最終回は多くを語らず、余白を残す終わり方でした。
緑谷久の存在もまた、読者の想像に委ねられた部分と言えるでしょう。
彼がどんな人物で、どこで何をしているのか、出久とどんな関係なのか。
答えがないからこそ、ファンは様々な考察を楽しむことができます。
これもまた、ヒロアカという作品の魅力の一つなのかもしれません。
ジャンプ作品の新しい形「父親不在」の意味
近年のジャンプ作品では、父親が登場しない作品が増えています。
従来のジャンプ作品では、父親が重要な役割を果たすことが多かったのですが、時代とともに家族の形も多様化しています。
ヒロアカの緑谷久の扱いは、まさに現代的な家族観を反映したものと言えるでしょう。
母親の引子が「ほぼ女手一つで出久を育てています」という描写も、現代社会の一面を表しています。
まとめ
ヒロアカの緑谷の父親といえば、作中で生きているのに全然所在が分からない謎の人物ですよね。
スピンオフなどで活躍する感じなのかと思いましたが、それもなさそうなのでますます謎です。
堀越先生なりの考え方があるのかも?と思いますが、いずれ何かの機会で作品として出たら嬉しいですね!
ここまでありがとうございました。
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