ワンパンマンに登場するガロウは、作中で最も複雑なキャラクターの一人です。
表面的には「ヒーロー狩り」を行う凶悪な人間怪人として描かれていますが、その内面には驚くほど優しい一面が隠されています。
今回は、ガロウが本当は「いいやつ」なのかという論争に触れ、彼の行動を分析し、サイタマとの戦いの結末から現在の状況まで徹底的に解説していきます!
ガロウとは?ヒーロー狩りの正体
画像引用元https://neoapo.com/characters/45629
人間怪人ガロウの基本プロフィール
まずはガロウという人物について、基本的な情報を整理してみましょう。
ガロウは18歳の青年で、元々はS級ヒーロー・シルバーファング(バング)の弟子でした。
師匠の元で流水岩砕拳を学んでいましたが、ある時から道場を破門され、「ヒーロー狩り」と呼ばれる活動を始めるようになります。
身長177センチと標準的な体格ながら、その戦闘能力は桁違いで、多くのプロヒーローを次々と病院送りにするほどの実力者!
彼が目指すのは「絶対悪」になることです。
しかし、この「絶対悪」という言葉の裏には、単純な悪意ではない複雑な動機が隠されています。
まさに「悪役志望だけど実は善人」という、なんとも皮肉な設定ですね。
幼少期のトラウマとヒーロー狩りの動機
画像引用元https://plaza.rakuten.co.jp/kakakano/diary/202203260000/
ガロウがなぜヒーロー狩りを始めたのか、その根源には幼少期の辛い体験があります。
彼の過去を振り返ると、現在の行動原理が見えてきます。
ガロウの幼少期の体験
小学生時代のガロウは、クラスメイトとのヒーローごっこで常に怪人役を押し付けられていました。
主な体験をまとめると以下の通りです:
- 無理やり怪人役:人気者のたっちゃんにいつも怪人役を強要される
- 一方的ないじめ:「正義の名の下に」暴力を受け続ける
- 誰も助けてくれない:大人も他の子供も見て見ぬふり
この体験が、後の「ヒーローは偽善者」という価値観の原点となっています。
この幼少期の体験から、ガロウは「ヒーロー=正義」という図式に強い疑問を抱くようになりました。
彼にとってヒーローとは、弱者をいじめる口実として「正義」を振りかざす存在だったのです。
だからこそ、彼は「怪人が勝つ世界」を作ろうとした…まるで「いじめられっ子の逆襲」を壮大なスケールで実行しようとしているかのようです。
流水岩砕拳の実力と戦闘スタイル
ガロウの強さの秘密は、シルバーファングから学んだ流水岩砕拳にあります。
しかし、彼はこの武術を独自にアレンジし、さらに他の武術も習得して自分なりのスタイルを確立しました。
特筆すべきは彼の学習能力の高さです。
一度見た相手の技や動きを瞬時に分析し、自分の体に取り込んで応用する能力は天才的と言えるでしょう。
A級やB級ヒーローとの戦いを通じて、彼は次々と新しい技術を身につけていく姿は、まさに「戦いながら成長する」タイプの戦士。
RPGの主人公のような成長速度を見せています。
しかし、技術的な強さ以上に注目すべきは、彼が決してヒーローを殺さないという点です。
どんなに激しい戦いでも、相手を病院送りにはしても命を奪うことはありません。
これは後述する彼の「優しさ」と密接に関係しています。
本当に極悪非道な怪人なら、ここまで手加減する必要はないはずですからね。
ガロウの「いいやつ」な一面とは
画像引用元X
タレオとの心温まる関係
ガロウの優しい一面が最も顕著に現れるのが、少年タレオとの関係です。
タレオは眉毛が繋がったおかっぱ頭の少年で、いつもヒーロー名鑑を持ち歩いているヒーロー好きの子供です。
二人の出会いは偶然でしたが、ガロウはタレオが他の子供たちにいじめられているのを見て、自然と助けるような行動を取ります。
これは彼自身の幼少期の体験と重なる部分があるからでしょう。
タレオがヒーロー名鑑を貸してくれたことをきっかけに、二人の間には不思議な信頼関係が生まれていきます。
興味深いのは、ガロウがタレオの前では「怪人らしさ」を演じようとしながらも、結局は彼を守る行動を取り続けることです。
怪人協会編では、タレオが危険にさらされるたびにガロウが駆けつけて救出する場面が描かれています。
まるで「ツンデレお兄さん」のような振る舞いで、読者の心を温かくしてくれます。
正直、これには私もキュンキュンしました(照)。
子供を傷つけない鉄の掟
ガロウには絶対に破らない暗黙のルールがあります。
それは「子供には危害を加えない」ということ、この姿勢は作品を通じて一貫しており、彼の本質的な優しさを物語っています。
怪人協会での戦いにおいて、協会側から子供を殺すよう要求された時も、ガロウは明確に拒否します。
「誰かが手を伸ばしてくれると思うな」「自分が強くなるしかない」とタレオに厳しい言葉をかけながらも、最終的には彼を安全な場所に逃がしています。
この場面は、ガロウの偽悪的な性格がよく表れています。
作中で描かれるガロウの子供への接し方には、一貫した特徴があります。
- 絶対に危害を加えない:どんな状況でも子供だけは守る
- いじめを許さない:弱い者いじめを見ると介入する
- 厳しくも温かい指導:甘やかすのではなく強くなる方法を教える
これらの行動から、彼の根本的な優しさと正義感が見て取れます。
この「子供を守る」という行動原理は、彼が目指す「絶対悪」とは明らかに矛盾しています。
本当に悪になりたいなら、むしろ弱い存在から狙うのが効率的なはずです。
しかし、ガロウにはそれができません。彼の中にある善性が、そうした行動を拒否するからです。
ヒーローを殺さない理由
ガロウがヒーローたちと戦う際の特徴として、相手を病院送りにはしても決して殺さないということが挙げられます。
これは単なる手加減ではなく、彼なりの信念に基づいた行動です。
彼にとってヒーローたちは「間違った正義を振りかざす存在」ではありますが、同時に「同じ人間」でもあります。
だからこそ、彼らの過ちを正すために痛い目に遭わせることはあっても、命を奪うことはしません。
これは非常に理性的で、ある意味では慈悲深い判断と言えるでしょう。
また、ガロウは戦いの中で相手の実力や人格を見極める能力にも長けています。
本当に正義感に燃えているヒーローに対しては、ある種の敬意を払うような場面も見られます。
まさに「憎むべきは罪であって人ではない」という考え方を体現しているかのようです。
サイタマに見抜かれた本心
ガロウの真の姿を最も鋭く見抜いたのは、主人公のサイタマでした。
サイタマはガロウとの対話の中で、彼が本当は「ヒーローになりたかった」のではないかと指摘します。
この指摘は図星でした。ガロウが子供を守り、ヒーローを殺さず、弱者の味方をする行動は、まさにヒーローそのものです。
彼は「絶対悪」を目指していると言いながら、実際には「アンチヒーロー的なヒーロー」として行動していたのです。
サイタマは「お前、本当はヒーローになりたかったんじゃないの?」と核心を突きます。
この問いかけに対するガロウの反応からも、彼の本心が垣間見えますね。
彼は自分でも気づかないうちに、理想のヒーロー像を体現していたのかもしれません。皮肉にも、多くの正式なヒーローよりもヒーローらしい行動を取っていたのですから。
ガロウvsサイタマ、そして最後は?
画像引用元ノスタルジー
神の力を得た覚醒ガロウ
ガロウとサイタマの最終決戦は、想像を絶するスケールで展開されました。
怪人協会編の終盤で、ガロウは謎の存在「神」から力を授かり、「宇宙的恐怖モード」と呼ばれる究極の形態に覚醒します。
この状態のガロウは、もはや人間の枠を超えた存在でした。
宇宙線を操り、核分裂を起こし、重力を歪める能力を手に入れます。
しかし、この力は彼が本来望んでいたものではありませんでした。神の影響で、彼の本来の意思は歪められ、より破壊的な存在へと変貌してしまったのです。
画像引用元https://itoomac.com/matome.blue-sky/2023/04/11/onepunchman-garo/
この変貌の引き金となったのは、ジェノスの「死」でした。
ガロウが放射線攻撃でジェノスを破壊してしまい、それを見たサイタマが初めて本気の怒りを見せます。
いつもの飄々とした態度を崩し、感情を露わにしたサイタマの姿は、読者にとっても衝撃的でした。
木星での史上最大の戦い
サイタマとガロウの戦いは、地球を離れ木星付近にまで及びました。
二人の戦闘力があまりにも巨大すぎて、地球では戦えないレベルに達していたのです。
この宇宙空間での戦いは、ワンパンマン史上最もスケールの大きな戦闘シーンとなりました。
しかし、神の力を得てもなお、ガロウはサイタマに敵いませんでした。
サイタマは戦いの中でも成長を続け、ついには「時間逆行」という概念すら理解し、習得してしまいます。
この展開は多くの読者を驚かせましたが、同時にサイタマの底知れない潜在能力を示すエピソードでもありました。
戦いの最中、ガロウは自分の行為の重大さに気づきます。
特にタレオをはじめとする無実の人々が被害を受けていることを知り、深い後悔に苛まれます。
この時点で、彼の中の本来の優しさが神の影響を上回り始めたのです。
時間逆行とガロウの最後の贖罪
戦いの終盤、ガロウは自分の犯した過ちを償うため、サイタマに「時間逆行の技術」を伝授します。
これは神から得た力の一部でしたが、ガロウはそれを使って過去を変えることで、ジェノスや他の犠牲者を救おうとしたのです。
この行為は、ガロウの根本的な善性を示す重要な場面でした。
自分が消える可能性があるにも関わらず、他者を救うために行動する姿は、まさにヒーローそのものです。
皮肉にも、彼が最も「絶対悪」から遠ざかった瞬間でもありました。
サイタマが時間を遡った結果、覚醒ガロウとの戦いは「なかったこと」になりました。
しかし、サイタマだけは記憶を保持しており、ガロウは元の状態に戻ります。
彼自身は覚醒時の記憶を失っているため、自分が何をしたのか、そして何を償おうとしたのかを覚えていません。
現在のガロウ:フリーター生活と真の成長
サイタマとの戦いの後、ガロウは素性を隠してフリーター生活を送っています。
引越し業者や建設業でアルバイトをしながら、普通の青年として日々を過ごしているのです。
この変化は、彼にとって大きな成長の表れと言えるでしょう。
特筆すべきは、彼が再びバングの道場で修行を始めたことです。
師匠との関係も徐々に修復され、真摯に武術に向き合う姿勢を見せています。また、以前戦ったスイリューとも再会し、今度は建設現場で一緒に働くという展開も描かれています。
サイタマとの戦いを経て、ガロウの生活は大きく変わりました。
- フリーター生活:引越し業者や建設業でアルバイト
- 師匠との和解:バングの道場で修行を再開
- 社会復帰:普通の青年として責任ある生活
この変化は、彼が真の意味で成長したことを示しています。
なぜガロウが刑務所行きや死刑を免れたのかについては、いくつかの理由が考えられます。
まず、彼が「神」という大きな脅威についての情報を持っていることが重要視されたでしょう。
また、シルバーファングの引退により、彼の武術を継承できる人材が必要だったという事情もあります。
そして何より、彼が本質的に善人であることが認められたからではないでしょうか。
現在のガロウは、かつての「絶対悪」を目指していた頃とは別人のように穏やかです。
しかし、その根底にある正義感や弱者への思いやりは変わっていません。
むしろ、それらがより自然な形で表現されるようになったと言えるでしょう。まさに「本当の自分を見つけた」状態なのかもしれませんね。
まとめ
ガロウのエピソードはなんかめっちゃ感情移入しちゃうタイプのやつで、ものすごく好きです。
おそらくファンの間でも結構人気のエピソードだと思います。
いいやつか論争の結論を言えば、「根は悪くないしいいやつだが、考え方次第で悪いこともできる」って感じですかね。
皆さんはどう考えますか?
ここまでありがとうございました。






コメント