狼と香辛料の物語はじめから存在がちらついていた『月を狩る熊』
しかし、その正体についてわかっていることってほとんどないですよね。
原作でもまだ多くを触れられていない存在です。
今回は『月を狩る熊の正体ってなに?』についてまとめつつ考察していきます!
“月を狩る熊”って?
『狼と香辛料』では、ホロの故郷を滅ぼした巨大な白い熊とされています。
正式な名前は”イラワ・ウィル・ムヘッドヘンド”とされており
性格は凶暴で、神と呼ばれる存在と戦い殺して各地を回るほどだったようです。
微妙に読みにくい名前だなぁ…
しかし”テゥペロヴァンの大海蛇”と戦ったのを最後に伝承から姿を消し、それ以降は情報がないとのこと。
作中では多くを触れられないまま、『狼と香辛料』は完結しましたね。
しかし、続編の『狼と羊皮紙』では再度存在について触れており、今後色々と判明していくことが期待されています。
【考察】月を狩る熊の正体!
月を狩る熊の正体について、狼と羊皮紙の5巻辺りでは仮説が出ているようです。
それは「月を狩る熊は神である」というもの。
そして、この月を狩る熊が世界の信仰や教会を作った…というものですね。
物語の辻褄を合わせる意味で、かなり信憑性のある仮説です。
というのも、狼と香辛料は現実の経済・宗教をモデルにした事柄も多く
舞台設定は12世紀から15世紀ごろの北ドイツと言われています。
月を狩る熊は神々を殺して回っていた、というのは
「他の宗教をつぶして回っていた」という意味に考えられますし
作中に出てくる正教会は「自分のとこの神様以外認めへんで!」という過激派です。
逸話と似た部分がありますよね。
しかも
ホロとロレンスの娘であるミューリと旅をしている、コルという少年の目的は教会改革となっており
狼と羊皮紙の最終目的が宗教改革なら
教会を改革する=月を狩る熊の信徒を打倒する、という意味に繋がってきます。
コルは聖職者なので色々と葛藤がありそう…そういう意味でも物語的に面白いかも?
しかも、現実の歴史に当てはめてみてもルターの宗教改革の時期と近いです。
ただ、これについては現実的すぎるので…あくまで創作である『狼と羊皮紙』の世界とはあまり関係ないかなとも思います。
『狼と香辛料』の物語の原点に戻る、という意味でも
史実に沿ったうえで聖職者として色々と制限のあるコルと
ミューリの恋愛的な関係性につなげる意味でも
月を狩る熊の正体が神であるというのは納得いく説ではないかと思います。
※カトリックでは結婚する相手が同じ宗派でないとダメだったのが、宗教改革後のプロテスタントでは相手の宗派に制限がなくなったため。
宗教問題は難しいけど、物語にうまく取り込んでいてすごいですね…見どころが多い!
まとめ
狼と香辛料は、ホロのような存在以外は現実的なストーリーですよね。
人外の発見や冒険が目的の旅でもなく、ロレンスが主体の経済の話だったので月を狩る熊について多くを触れることなく本編が終了するのは「らしい」のかなと納得できます。
しかし、狼と羊皮紙では月を狩る熊について本格的に、しかも宗教という別視点からメスを入れていっている様子。
ここから色々と判明してくるのが楽しみですね。
ここまでありがとうございました。